
製作したちゃぶ台を手にするダニー・ネフセタイと妻の吉川かほる。ダニーは、みんなが等間隔で座れるちゃぶ台の「和」の思想にほれ込んだ=2025年7月、埼玉県皆野町の工房「ナガリ家」(撮影・堀誠)
ウグイスの鳴き声が、せみ時雨にかき消される。7月下旬。東京から車で2時間ほどの山間で、旋盤とかんなの音が響く。埼玉県皆野町に、イスラエル出身のダニー・ネフセタイ(68)が自宅兼家具工房「ナガリ家」を構える。ヘブライ語で木工房という意味だ。
朝食を終えて工房に立ったダニー。ちゃぶ台の土台にする木の部材を手にすると柔和な表情が一変、鋭い目つきになった。「まだ反りが残っている」。表面を素手で触り、感触を確かめながら、かんなで何度も削る。素材は国産の天然木で、くぎは使わず、塗装はヒマワリ由来のオイルで仕上げる。「木の魅力を最大限生かせるようにする」
▽特殊能力
農村に生まれ、幼い頃から手先が器用だっ...
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