
イスラエルの入植者による銃撃で亡くなったパレスチナ人の追悼式会場周辺を警戒するイスラエル兵ら。式典参加者を尋問するなど緊迫感が漂う=2025年9月、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸マサフェルヤッタ(撮影・金子卓渡、共同)
鶏やロバの鳴き声と共に高原の夜が明けた。モスク(イスラム教礼拝所)から祈りを呼びかけるアザーンが集落に響く。オリーブの木に、夏の強い日差しが照りつけ始めた。
パレスチナ自治区ヨルダン川西岸南部に広がるマサフェルヤッタ。谷を挟んだ目と鼻の先の丘にイスラエル国旗が翻る入植地がある。イスラエルが西岸で進める占領政策の最前線だ。
朝食を取っていた人権・平和活動家のサレム・アドラ(31)の携帯に「緊急連絡」が相次いで入った。早朝にイスラエル兵が理由も告げず、地元の農民を拘束。別の場所では入植者が、パレスチナ人のオリーブ畑に侵入しトラブルになっているという。「救援が必要かもしれない。今すぐ行く」。メッセ...
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