フランス子ども家庭福祉研究者の安発明子さん=2023年11月、鹿児島県南九州市
 フランス子ども家庭福祉研究者の安発明子さん=2023年11月、鹿児島県南九州市
 17世紀から匿名出産する女性を受け入れてきた病院=2023年10月、パリ(共同)

 孤立出産の末、乳児を遺棄する事件が後を絶たない。親が育てられない子どもを匿名で受け入れる「赤ちゃんポスト」や、病院以外に身元を明かさない「内密出産」は熊本、東京の病院が導入し、大阪府泉佐野市は2026年度中の運用を目指すが、全国的な動きにはなっておらず、国は関与に消極的だ。海外では制度化が進み、識者は、予期せぬ妊娠を誰にも相談できない人々の背景にある困難に目を向け、支援すべきだと訴える。

 ▽責められる

 「現実が受け止められず、1人で抱え込んでしまった」。東京都の女性(29)は1月、生理の遅れとおなかの膨らみに気付いた。生活が苦しく風俗店で働いていたため父親は分からない。責められることを恐れ、...

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