広島原爆の日、小頭症被爆者の川下ヒロエ(手前)を囲む医療ソーシャルワーカーの村上須賀子(手前左)、河宮百合恵(右端)ら=2025年8月、広島市(撮影・林昌三)
 広島原爆の日、小頭症被爆者の川下ヒロエ(手前)を囲む医療ソーシャルワーカーの村上須賀子(手前左)、河宮百合恵(右端)ら=2025年8月、広島市(撮影・林昌三)
 小頭症被爆者の川下ヒロエ(左奥)が描いた絵を見る河宮百合恵(手前)=2025年8月、広島市(撮影・林昌三)
 きのこ会の誕生会でバースデーケーキのろうそくの火を消す小頭症被爆者の川下ヒロエ(左)ら=2025年6月、広島市東区の神田山荘(撮影・今里彰利)
 きのこ会の誕生会で歌う小頭症被爆者や支援者たち=2025年6月、広島市東区の神田山荘(撮影・今里彰利)
 村上須賀子と河宮百合恵の年表
 タイトルカット

 「皆さん、証言を引き出してください。彼女に被爆時の惨状は語れない、お母さんのおなかにいたので。生まれた時から被爆者。生身の人間が原爆で傷つけられたら、どんな生活を続けることになっていくのか。胸に刻んでほしい」

 ▽原爆小頭症

 8月6日の昼下がり、広島市中心街のビルの一室で開かれた「被爆者証言のつどい」。医療ソーシャルワーカーの村上須賀子(むらかみ・すがこ)(80)が集まった10人ほどに語りかけた。

 被爆80年を迎えたこの日、広島は朝から30度超の猛暑。汗をぬぐう聴衆の視線は、村上の隣に座る被爆者に注がれた。

 川下(かわしも)ヒロエ(79)。爆心地から約1キロの地点にいた母親の胎内で被爆した小頭...

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