
移送されたサイの子ども「INNOCENT PRINCESS」(右)。母親は四六時中付き添い、人間が近寄ると危険と判断するのか身をていして守る=2025年9月、モザンビーク・ジナブ国立公園(撮影・中野智明、共同)
どこまでも続く大草原に、真っ赤な太陽が沈む。見上げるほど高く跳ねるインパラ、森で静かにうごめくゾウの群れ―。モザンビーク南部イニャンバネ州のジナブ国立公園には、生命力あふれる自然が息づいている。
この楽園はかつて、長く悲運に見舞われた。内戦と密猟で、動物は居場所を喪失。鳥のさえずりも聞こえない「静寂の公園」と呼ばれ、一時は人々の記憶から消えた。
公園の管理主体は近年、政府や動物保護団体と連携し、近隣国から多様な種の動物を移送し続けている。自然繁殖させることで、豊かな生態系を再興するのが狙いだ。国立公園管理官アントニオ・アバカ(61)は「われわれが挑戦をやめたら内戦時に逆戻りだ。次の世代につな...
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