日米首脳会談後の署名式で握手を交わすトランプ米大統領(左)と高市早苗首相=10月28日、東京・元赤坂の迎賓館
 日米首脳会談後の署名式で握手を交わすトランプ米大統領(左)と高市早苗首相=10月28日、東京・元赤坂の迎賓館

 1世紀以上、世界の平和に寄与してきたノーベル賞の精神を踏みにじる外交的茶番劇だった。高市早苗首相が日米首脳会談で、トランプ米大統領をノーベル平和賞に推薦すると表明。国会答弁では、説明責任に背を向けた。

 高市氏は10月の会談でトランプ氏を前に、タイとカンボジアの衝突やパレスチナ自治区ガザの戦闘で停戦を実現させたとして「かつてない歴史的偉業だ」と称賛。「短期間に世界はより平和になった」と指摘した。

 「かつてない」は誇張だとしても、トランプ政権が各地の紛争で和平仲介に注力したのは事実だ。甘言で糊塗した処世術が求められるのも、外交舞台の常ではあろう。

 だが平和賞推薦の表明は、もっと慎重であるべきだっ...

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