中学校の保健体育の現行学習指導要領(抜粋)
 中学校の保健体育の現行学習指導要領(抜粋)
 取材に応じる樋上典子さん。今も講師として東京都足立区の中学校などで性教育を行っている=10月、東京都足立区で撮影
 「包括的性教育」の授業をする樋上典子さん(画像の一部を加工しています)
 歯止め規定の撤廃を求めて東京・新宿で9月に開かれたシンポジウム=9月、東京・新宿
 歯止め規定の撤廃を求める署名サイトのページ

 ほとんどの小中学生は、学校で性交に関する知識を学んでいない。児童生徒に教えるべき内容を定めた学習指導要領に、性交の扱いを禁じるかのような「歯止め規定」と呼ばれる文言があるからだ。いま、国際的潮流になっているのは「包括的性教育」。性交や妊娠にとどまらず、人権の観点からジェンダー平等や多様な性の在り方などについて幅広く学ぶ考え方だ。それなのに日本は、基本的な性教育すらできていない。

 これには、性交を教えることが軽はずみな性交につながってしまうという「寝た子を起こすな」との意識が背景にあるとされる。だが、本当にそうなのか。粘り強く性教育を続けてきた教員は「むしろ逆」と断言する。性交を正しく学ぶこと...

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