書店をのぞくとカラフルな来年の手帳が並んでいる。スーパーにはおせち料理の予約チラシが張られた。もう、こんな時期かとため息が出る。馬齢を重ねるごとに、月日の流れは加速する一方だ
▼言葉に関わる仕事をしているからか、この季節は新語・流行語大賞が気になる。ただ、今回ノミネートされた30語を見ても「その通りですね」と納得できるものが少ない。多様性が増しているのか、自分の感度が鈍っているのか。おそらくは後者だろう
▼ワークライフバランスに逆行するような女性首相の「働いて働いて」があった。大阪万博の「ミャクミャク」や「緊急銃猟/クマ被害」は今年の世相をよく反映している
▼県内で頻繁に聞いた言葉は何だろう。「信を問う」が真っ先に思いつく。東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題を巡り、花角英世知事は自分の考えを示した上で「信を問う」と繰り返してきた。どんな手法を用いるのかは知事のみぞ知る
▼知事選がその機会になるとの見方もあったが、そうでもないらしい。ささやかれるのは県議会での議決だ。県議会で県民の意思を確かめるよう求める声は、自治体の首長からも上がる
▼もともとこの言葉は7年前にさかのぼる。初出馬時に花角知事は原発再稼働について「職を賭して信を問う覚悟ができている」と述べた。判断材料とした県民意識調査や柏崎刈羽原発視察は終わった。きょうは事故が起きた福島第1原発も視察する。どう決着するのか。県民は固唾(かたず)をのんで見守っている。
