映画「国宝」(李相日監督)が邦画実写作で興行収入歴代1位となった。歌舞伎を題材に据えた大人の物語が幅広い年代の支持を集め、異例の社会現象に。映像や演技、構成が目の肥えた観客の鑑賞にも堪える上質なつくりで、映画史に大きな足跡を刻んだ。

 邦画実写作のこれまでの1位は、2003年公開の「踊る大捜査線」の映画版第2作「レインボーブリッジを封鎖せよ!」だった。洋画やアニメを含めた歴代興収のベストテンでは「劇場版『鬼滅の刃』」シリーズや「千と千尋の神隠し」などのアニメ映画が上位を占め、邦画の実写は記録の上では劣勢だ。

 ただ「国宝」は映画界を超えたブームを巻き起こした。「国宝(観た)」が新語・流行語大賞に...

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