
地球環境戦略研究機関気候変動ユニット・リサーチディレクターの田村堅太郎さん
ブラジルで開催された気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は、パリ協定採択から10年の節目であると同時に、締約国が5年ごとに排出削減目標を引き上げる2回目の機会であった。しかし、前回2021年に目標引き上げのけん引役となった米国が、トランプ大統領の下でパリ協定から離脱したために不在となり、目標の提出状況は低調であった。
その結果、今回の合意文書では、産業革命以来の気温上昇が1・5度を一時的に超過した後に引き下げるという「オーバーシュート」に初めて言及し、その規模や期間を抑制するための努力を追求していくとした。
こうした中、注目を浴びたのが、会議直前の首脳級会合でルラ・ブラジル大統...
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