
冷ややっこがおいしい季節になった。豆腐さえあれば、酒肴(しゅこう)も、ご飯のおかずもなんとかなるという心強い存在だ。
東京など首都圏の豆腐店経営者は、銭湯と並び本県出身者が多いという話は以前から耳にしていた。都内の豆腐製造業者の団体、東京都豆腐商工組合の公式サイトに掲載されていた組合加入店舗には、越後屋や新潟屋など、本県を連想させるような屋号があった。
組合の事務局に尋ねてみると、「調査はしていないが、確かによく聞く」とのこと。「理事長も新潟県出身ですよ」と聞いた時には驚いた。理事長の市村一美さん(84)は妙高市(旧新井市)出身で、東京都三鷹市で「市村豆腐店」を営んでいる。
いわゆる「町のお...
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