連立の思惑が目立つ国会だった。政権が独善的な姿勢を改めなければ、来年の通常国会でも議論は深まらない。
高市早苗首相が初めて臨んだ臨時国会が17日、閉幕した。
自民党と日本維新の会の連立政権による初めての国会だった。
補正予算は成立したが、両党が共同提出した衆院議員定数削減法案は、野党の反発を受け審議入りできずに終わった。
維新は、定数削減を連立参加の「絶対条件」と位置付けていた。10月に自民と交わした連立政権合意書では「1割を目標に衆院議員定数を削減するため、臨時国会で法案を提出し、成立を目指す」としていた。
だが、性急過ぎた。選挙制度は民主主義の土台である。改めるには、丁寧な議論と幅広い合意形成が欠かせない。今国会での審議先送りは当然である。
なぜいま削減なのか、納得のいく説明があったとは言い難い。
自民と維新で主張に溝がある企業・団体献金禁止といった懸案を棚上げするための「論点のすり替え」として定数問題を急いだとすれば、もってのほかだ。
通常国会でも「政治とカネ」問題に背を向けるならば、国民の政治不信は一層深まるだろう。
政府、与党は防衛装備移転三原則の運用指針緩和、旧姓の通称使用法制化など連立合意の実現にとらわれている印象がある。
外国人への規制強化も同様だ。高市首相は「排外主義とは一線を画す」と述べたものの、どのように共生社会を目指すのか、国会での論戦は物足りなかった。
首相が高市カラーとして保守色の強い政策にこだわり続けるのであれば、危うさをはらむ。
中国が台湾に武力侵攻する「台湾有事」は、日本が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になり得るとした衆院予算委員会での首相答弁が日中対立を招いた。
日本への渡航自粛呼びかけに始まった対立は、中国軍機による航空自衛隊機へのレーダー照射という軍事的緊張にまで発展した。
首相は17日の記者会見で、存立危機事態に関し「政府の従来の立場を変えるものではない」と強調し、「戦略的互恵関係」を推進していく方針を改めて示したが、対応をエスカレートさせる中国側の言動の沈静化は見通せない。
自維の連立政権は、衆院は過半数ぎりぎりで、参院は過半数に6足りない。
「年収の壁」やスパイ防止法を巡り、一部の野党の取り込みを図ろうとすることも想定される。
野党第1党の立憲民主党は、論戦の対抗軸となり、他の野党と連携し、自維政権の独断専行を食い止めることが求められる。
与党は、数合わせでなく、活発な議論から理解を得る努力を尽くすべきである。
