再生可能エネルギーに対する国の姿勢が判然としない。活用への道筋は描けているのか。

 化石燃料の乏しい日本で再エネは重要な資源である。政府は利用が適切に進む環境を整えなければならない。

 政府は大規模太陽光発電所(メガソーラー)の規制強化に乗り出す。電気を市場価格に上乗せして買い取る制度について、2027年度以降の新規事業は支援の廃止を含めて検討する。

 制度は12年、東日本大震災後に原発が停止する中で、太陽光や風力など再エネの導入を進める狙いで始まった。事業用の太陽光は大半が国の補助を受けてきた。

 大きな転換だ。支援が廃止されれば新設する事業者の負担は増し、参入をためらうケースも想定される。再エネ利用の停滞は地球温暖化対策の点でも懸念される。

 政府はエネルギー基本計画で、再エネを将来の最大電源としている。発電量に占める再エネの割合を現在の約2割から、40年度には4~5割とする目標だ。

 その中でも、太陽光は中心的な位置付けで40年度の目標を「23~29%程度」とする。11年度に0・4%にとどまっていた割合は、支援制度が追い風となって24年度は9・9%に達したものの、目標との開きはいまだ大きい。

 どのような手法で目標を実現するのか、政府は具体的な再エネ活用策を示すべきだ。

 規制強化の背景には、メガソーラー設置に伴う開発でトラブルが起きていることがある。希少な生物がすむ北海道の釧路湿原周辺では、業者が必要な許可を得ずに開発しようとし、問題となった。

 環境や住民の暮らしを無視した開発は許されず、一定の歯止めは必要だろう。政府が今回の規制に、第三者機関が建設前に設備の安全性を確認する仕組みなどを盛り込んだことは理解できる。

 ただ、再エネ政策が急転換した印象は否めない。高市早苗首相は中国製太陽光パネルの流入に批判的な立場を取る。支援制度の早期廃止方針は、10月からの高市政権下で一気に進んだ。

 長期的に取り組むべきエネルギー政策で、過度に政権の意向が反映されるようでは、民間が先々を見通して参入することが難しくなる。政策の一貫性が必要だ。

 太陽光パネルに関しては、リサイクル制度の整備が急務となる。

 パネルの寿命は20~30年とされる。廃棄量は30年代後半から急増し、最大で年50万トンに及ぶと推計されている。

 現状では、大半が埋め立て処分されている。このままリサイクルが進まなければ、不法投棄や放置が増え、鉛など有害物質が流れ出す恐れもある。

 持続的に再エネを活用できる体制が必要だ。政府は法整備を加速させてもらいたい。