紙面では2025年を回顧する企画記事が目に付くようになった。先日の本紙芸能面では印象に残った映画の投稿を読者から募っていた。邦画実写作の興行収入歴代1位となった「国宝」や、「鬼滅の刃」シリーズなどの人気作品もあるけれど、米国女優デミ・ムーアさん主演の「サブスタンス」をイチ推ししたい

▼ムーアさん演じる主人公はエアロビクスの番組に出演していたが、50歳を超え降板させられる。そんな時、若い体になれる薬を手に入れる。だが、その結末は…。恐ろしく、かつ愉快にルッキズムを痛烈に批判した映画だった

▼いつまでも若くいたい、永遠の命を手に入れたい。古来、人間のはかない欲望の一つだろう。古代中国を統一した秦の始皇帝が、不老不死の薬を求めた話は有名だ。絶対的な権力を手にした人間は、己の天命まで思い通りになると考えてしまうのか

▼今年9月、ロシアのプーチン大統領は、中国の習近平国家主席や北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記と雑談した際に、生命工学の発達で「不死さえも実現できる」と話したと報じられた

▼科学者が話すなら未来は明るくなるが、強権国家の為政者が語ると気分は暗くなる。プーチン氏はウクライナに武力侵攻し、多くの市民のかけがえのない命を奪い続けている。不死を実現させるより、無益な殺りくを即時にやめるべきだ

▼不老不死などは初夢で見られれば十分。あらゆる国の人々が天寿を全うできる環境で暮らしていけるよう、一刻も早く和平実現を。

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