復旧・復興の取り組みは進むが、新年を仮設住宅で迎えざるを得ない人も多い。被災した人々が一日でも早く暮らしとなりわいを取り戻せるよう支援を続けたい。

 能登半島地震は年が明けると発生から2年になる。

 石川県では、2024年9月の豪雨との二重の被災に見舞われた奥能登の輪島市、珠洲市、能登町、穴水町を中心に、道路や港、河川などの修復が続いている。

 みなしを含めた仮設住宅で約1万8千人が暮らす。26年1月から順次、2年の入居期限となる。

 自宅再建が間に合わないなどの事情があれば延長が可能で、石川県の意向調査に回答した8割強が延長を望んでいるという。

 災害公営住宅の完成は早くても26年6月ごろの見通しだ。住まいをどこに構えるか、葛藤を抱える被災者を生活再建が軌道に乗るまで支えたい。

 県の推計によると、25年11月1日時点の奥能登4市町の人口は、地震発生時の24年元日に比べ、7302人、13・2%減った。

 人口が減り社会・経済活動の衰退が懸念される。建設費高騰や建設業者の不足も深刻だ。

 人手不足や施設の復旧の遅れなどで、日本有数の温泉地である七尾市の和倉温泉では半数以上の旅館が今も休館し、農林水産業や酒造りも十分再開できていない。

 経済活動が停滞すれば、流出してしまった人口が戻らない悪循環につながる。関係人口、交流人口を増やすなど持続可能性を高める工夫も必要だ。

 重く受け止めなければならないのは「災害関連死」だ。地震で亡くなった約700人のうち、心身への負荷が原因で命を落とした災害関連死は、本県の6人を含め450人以上で6割を超えた。

 石川県の分析では、電気・水道の途絶や社会福祉施設の被災などが主な要因だ。発災から3カ月以上たって亡くなった人は3割超に上った。守ることができた命があったのではないか。

 避難が長期化した場合を想定し、自治体や各施設は命を守るための備えを整えねばならない。

 奥能登4市町が義援金などを収入として認定し、計60世帯の生活保護を打ち切っていたことも分かった。日弁連は義援金には慈善的な性質があり、全額を収入認定すべきではないと訴えている。

 被災し、困窮する人に追い打ちをかけた。各自治体はそれぞれの事情に耳を傾け、丁寧な運用をしてもらいたい。

 新潟市では、被災家屋の公費解体が完了した。新たな生活に踏み出す一歩につながってほしい。

 復興に向け、液状化対策が大きな課題だ。西区と江南区の一部地域で導入予定の街区単位の液状化対策事業では、住民が金銭的な負担などを心配する。被災者に寄り添いながら進める必要がある。