名物駅弁「夫婦あなごめし」を持つ広島駅弁当社長の中島和雄さん=2025年10月、広島市
名物駅弁「夫婦あなごめし」を持つ広島駅弁当社長の中島和雄さん=2025年10月、広島市
駅構内の調理場で製造した人気の駅弁「活あなごめし」=2025年10月、広島市
JR広島駅構内の売店に併設された調理場で焼かれるアナゴ=2025年10月、広島市
 駅弁の調査研究について話すJR西日本の奥山喜文さん=2025念11月27日午後、東京都千代田区
各地の名物駅弁
広島駅弁当の「しゃもじかきめし」

 今、駅弁が苦戦している。1960年代のピークには約400社あった駅弁事業者は、現在は約2割にまで減った。

 「コンビニは駅弁業者からすると競争相手でしょうか?」。あるとき、広島駅弁当(広島)の社長、中島和雄さんは鉄道関係者から問われた。駅構内にテナントとして入るコンビニは、客を取り合う相手に見えたようだ。

 「コンビニの弁当が文明だとしたら、駅弁は文化なんじゃないかな」。中島さんは答え、この考えを幾度となく社内でも伝えてきた。駅弁再興に向けた取り組みは、広島駅弁当に出向していたJR西日本の社員がこの言葉を耳にしたことをきっかけに始まった。

 新幹線や特急列車に乗る際の旅のお供として親しまれてきた駅...

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