(絵:100%ORANGE)
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 机にむかって書いているときは音楽をならさない。ことばになる前の、ぼくのなかの小説のもとが、音に引っぱられてゆがんでしまう気がする。ゆがむはいいすぎとしても、なにがしかの影響をうけずにはいない。それくらい最強の磁力をもって音楽はぼくにせまる。

 もともとはジャズのひとをめざした。これまで書いた長編のほぼすべてに音楽家が登場する。もの書きのなかで、ぼくは外でのイベントが多いほうだと思うが、近年、カフェや書店でひらくのは、小説よりも音楽関連のイベントが圧倒的に多い。

 うちにある楽器をかぞえてみる。古いアップライトピアノ(京都の老舗ライブハウスから譲りうけた)、テナーサックス(高校生で購入)、チェロ(...

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