「詩と小説の間ですごく悩みながら書いています。自分の中の自由を拡大しながら、これからも書いていきたい」と話す井戸川射子さん
 「詩と小説の間ですごく悩みながら書いています。自分の中の自由を拡大しながら、これからも書いていきたい」と話す井戸川射子さん
 坪内逍遥大賞奨励賞を受賞した井戸川射子さん

 早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞を受賞した井戸川射子さんは、詩人と小説家の顔を持つ。芥川賞を受賞した「この世の喜びよ」など、ここ7年で五つの賞に輝く活躍だが、土台にあるのは地道な創作。「毎日、部屋で一人黙々と『ああでもないこうでもない』と言って悩んでいるのを、『一生懸命悩んでいるね』と褒められたような、照れくさいうれしさです」

 きっかけは詩だった。高校の国語教師をしていた時「詩の教え方が分からない。作ったら分かるかも」と思い立つ。数年で私家版として第1詩集「する、されるユートピア」を刊行するに至り、中原中也賞に選ばれた。

 作品の読者が増えると、詩の内容を井戸川さんの実体験と受け取る人が多いことに...

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