コメは日本人の主食である。誰にでも安定的に行き渡ることが不可欠だ。2024年の「令和の米騒動」のように、入手が困難になる事態があってはならない。

 コメの安定供給と持続的な生産ができるよう、政府は消費者、生産者の双方から信頼される政策を確立してもらいたい。

 農林水産省は食糧法に、コメを「需要に応じて生産する」との文言を明記する方針だ。23日に召集される通常国会での改正案提出が予定される。

 人口減少を踏まえ、過剰な生産を抑えつつ、価格の維持を図る狙いだという。

 25年産の収穫増で、26年6月末の民間在庫予想が最大230万トン近くと余剰感が強まり、米価の暴落が懸念されていることが背景にあるのだろう。

 農水省が発表した26年産の主食用米の生産目安は711万トンで、25年の収穫量746万トンに比べると大きく減る。米どころの本県が25年実績より4・5%減など、25年産生産量の上位10道県が減産か横ばいの設定だ。

 だが価格高騰を受け、石破茂前政権が昨年夏に増産を表明したばかりで、方針がすぐに変わる「猫の目農政」との批判は免れない。

 米価の値上がりにより生産意欲が高まった農家のやる気がうせないかも心配だ。

 コメ5キロの平均価格は4千円を超える高値が続き、家計を圧迫している。消費者のコメ離れが不安視される。

 鈴木憲和農相が高騰対策として「おこめ券」配布を呼びかけるが、自治体には発行や送付に手間や経費がかかり、本県をはじめ活用は広がらない。高値維持や、特定事業者への利益誘導を招きかねないといった批判も強い。

 令和の米騒動での価格急騰は、農水省が需要見通しを誤ったことも要因だった。正確な把握に努めねばならない。

 多重構造でコストがかさむコメ流通の改善にも本腰を入れて取り組むべきではないか。

 農業の担い手の確保、育成も喫緊の課題である。

 25年の農林業センサス(速報値)では、基幹的農業従事者の減少が加速していることが鮮明になった。65歳以上の割合は約7割と高齢化も進んでいる。

 「30年代にはコメの国内需要を国産で賄い切れなくなる」と関係者は指摘する。貿易統計によると、25年1~10月のコメの民間輸入量は24年通年の90倍になった。

 こうした状態は、食料安全保障の面からも懸念される。

 政府は26年度の予算案に、農地の大区画化の推進や、スマート農業の普及などにより生産コストを下げ、稼げる農業を目指すことを盛り込んだ。

 コメ作りが魅力ある職業となるよう、知恵を絞りたい。