極めて憂慮すべき事態である。子どもたちの抱える悩みや、小さなサインに気付き、支えられる社会をつくりたい。
2025年の小中高生の自殺者数(暫定値)は532人と、前年から3人増えた。統計のある1980年以降で最多となった。
内訳でみると、小学生10人、中学生170人、高校生352人だった。男性が255人、女性が277人に上った。
大人を含む全体は1万9097人で1223人減り、初めて2万人を下回った。その一方で、子どもたちの自殺は新型コロナウイルス禍で急増して以降、高止まりが続いている。
自殺防止の対策を急がなければならない。
19歳以下の原因・動機を見ると、複数計上で学校問題が316件、健康問題が315件、家庭問題が181件の順に多かった。
それぞれの悩みに応じた対応を考える必要がある。
政府はこども家庭庁、文部科学省、厚生労働省などが子どもの自殺対策に取り組むため、昨年9月、推進パッケージをまとめた。各省庁が早期発見や見守り支援、要因分析などの事業を行う。
文科省は学校現場が医療機関と連携する際の手順などを記した新たなガイドラインを26年度中に作成する方針だ。
これまでの教員向けのマニュアルには、医療関係者との連携に関する記述が薄く、教員だけでリスクの高い子どもを把握し、対処するのは難しいと懸念されていた。
専門家は「医療機関は自殺防止の最後のとりでであり、自殺防止の最前線である学校現場との連携は急務だ」と指摘する。各機関が緊密に協力することで、未然防止につなげたい。
新ガイドラインには、市販薬などを過剰摂取するオーバードーズ、交流サイト(SNS)での危険性の高いやりとりへの対応方法なども加える。
学校や家庭に居場所のない子どもたちには、児童館やフリースペース、食事を提供する子ども食堂など、安心して過ごせる環境を地域に整える必要もある。
体調やストレスなど心身の変化にいち早く気付いて声をかけ、支援に結び付ける「ゲートキーパー」の養成も重要だ。
電話相談に加え、近年はメールやチャットで相談を受け付ける自治体もある。子どもたちの状況に応じ、悩みに寄り添える多様な窓口の整備が求められる。
身近にいる大人が子どもたち一人一人に、かけがえのない存在なのだということを伝え続けたい。
