きょう12日はスキーの日。1911(明治44)年に、オーストリア・ハンガリー帝国のテオドール・エドラー・フォン・レルヒ少佐が、現上越市の高田地区で14人の陸軍将校に対し、日本で初めて本格的なスキー指導をした日だ

▼日露戦争に勝利した日本の軍隊視察を目的に来日したレルヒ少佐は、多雪地域への配属を希望した。秀でたスキーヤーだった彼は2組の板を持参し、軍人だけでなく広く民間人にもスキーの技術を伝えた。高田には約1年間滞在し、日本の文化を堪能したようだ

▼〈昼ごろ雪雲を通して日がさしこむと、数知れぬ小さな雪や氷の結晶が、空からひらりひらりと舞いながら落ちて来て、ピカピカ光るダイヤモンドでわれらの日本婦人を飾る〉。手記「明治日本の思い出」で高田の女性たちとの交流に触れ、冬の風景を伝えている

▼手記には雁木(がんぎ)に驚き、住民とともに狩猟や宴会を楽しんだ思い出がつづられている。随所に日本への愛情がにじむ。市内の日本スキー発祥記念館に展示されている少佐が残した写真や絵からも、その思いが伝わってくる

▼日本にスキーが伝えられてから115年がたつ。バブル期のスキーブームは去ったものの、今や海外から多くのスキーヤーが日本を訪れる時代になった

▼少佐が愛した高田のお隣、妙高市のスキー場も訪日客でにぎわっている。「スキーや温泉だけでなく、日本の文化にたくさん触れて帰ってほしい」。記念館脇に立つ一本杖(づえ)姿のレルヒ像が、そう言っている気がした。