選良といわれる議員にとって、任期とは何なのか。ビジョンや懸案の解決を公約に掲げて選挙を勝ち抜いた者に、その実現のために与えられた時間にほかならない

▼衆院議員の任期4年は決して長くはない。「働いて働いて…」と力まなくとも、腰を据えて政治課題に向き合い、有意義に任期を活用してもらいたいものだが、建前でしかないようだ

▼高市早苗首相が衆院解散の意向を固めた。前回衆院選から1年3カ月足らずである。内閣支持率が高い今、選挙をしたら自民党に有利だからというだけで、大した大義など見当たらない。問われるものがあるとすれば、高市政権に盤石な政治力を与えることに賛成か否か、でしかなさそうだ

▼有権者も暇ではない。各選挙区での前回の投票結果の是非を検証できるほど、現職の働きぶりや活動成果など判断材料の持ち合わせがないだろう。まずは求められる政策を粛々と遂行してほしいというのが偽らざる思いではないか

▼衆院解散権の恣意(しい)的な行使は戒めるべきだと、その制約について憲法審査会が議論をし、民間の政策提言団体からも声が上がってきた経緯がある。解散権は否定できないものの、党利党略で安易に「伝家の宝刀」を抜くのであれば、制度の悪用である

▼衆院選には600億円前後の費用がかかる。民主主義を成り立たせる必要経費とはいえ、通常国会の論議が頭からすっ飛ばされ、政党本位の政治ゲームに付き合わされることになるのだろうか。なされるがままが口惜しい。

朗読日報抄とは?