新卒採用者の選考がますます早まることが懸念される。学生たちの就職活動が長期化し、学業がおろそかにならないか心配だ。
採用活動がいたずらに早期化しないよう、産官学で考えていかねばならない。
2027年春に卒業を予定する大学生らの就職活動は1日、政府のルールで定められている採用面接や筆記試験が解禁された。
しかし、既に多くの学生が企業から内定を得ているのが実態だ。民間の調査によると、大学生らの就職内定率は5月1日時点で67%に上っている。
政府は採用活動の過度な前倒しを防ぐために、面接などの選考活動を6月、内定は10月という解禁日程を定めているが、違反しても罰則はなく、多くの企業が選考を前倒ししている。ルールの形骸化は明らかだ。
前倒しの要因となっているのが、大学3年生を対象にしたインターンシップ(就業体験)を行う企業が増えていることだ。実質的な選考の出発点となっている。
インターンは本来の就活とは異なり、学生が自らの適性を見極めるためだったが、23年度から「期間が5日間以上」などの条件を満たせば、企業は学生の情報を選考活動に活用できることになった。
学生が社風や業務に触れて企業との相互理解が深まることや、思い描いていた業務内容と実際の業務が違う入社後のミスマッチを防ぐといった効果がある。
人口減少で企業の人手不足感は強く、学生優位の「売り手市場」が続いている。企業は早期に動かねば、優秀な人材を確保できないという焦りもあるのだろう。
1~2年生向けのインターンや、卒業年度を限定しない企業説明会を企画する企業も見られる。就活が一段と早期化の様相を見せていることは確かだ。
政府は実態と乖離(かいり)していることを踏まえ、29年春卒業予定の学生から日程ルールを早める方向で検討しているという。
問題は、就活に費やす期間が一層長くなり、勉学や部活、サークルなどの学生活動に打ち込めなくなる恐れがあることだ。
見直しは、学生目線に立って行うべきである。
本県に目を向けると、県内の大学や専門学校などを今春卒業した学生・生徒のうち、県内企業に就職した人の割合は49・5%で、40年ぶりに5割を割った。
深刻な事態である。県外への転出が転入を上回る「社会減」がさらに進み、本県の人口減少に拍車がかかりかねない。
オンライン面接の普及により県外就職へのハードルが下がり、条件の良い首都圏の企業に就職する人が増えているとみられる。
学生たちにどう本県企業の魅力を発信していくか。企業だけでなく、県による工夫も求められる。
