知事選が31日投開票され、現職の花角英世氏が、新人の土田竜吾氏、安中聡氏を大きく引き離し3選した。県民は県政の継続を選び、かじ取り役を引き続き花角氏に託した。

 花角氏は現職としての実績と成果を掲げて挑み、選挙戦では危機的な状況にあった県財政を立て直し、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題にも区切りを付けたことなどを列挙した。

 選挙戦で花角氏は、これからの4年間で「攻めの県政を実現する」と語った。当選を決めると「特に経済の成長、活力を生み出していける元気な県づくりを目指す」と述べた。

 2期8年が過ぎたが、本県の現状は花角氏が掲げてきた「住んでよし、訪れてよし」の新潟には遠く、停滞感が濃い。

 花角氏には3期目を、結果を出す4年間と位置づけ、目指すビジョンが実現するよう全力で取り組んでもらいたい。

 先見性のある施策を打ち出して実行に移し、県全体に活力を広げられるかが問われる。

 ◆再稼働済み争点遠く

 残念なのは投票率である。過去3番目に低かった前回選と同水準にとどまった。

 柏崎刈羽原発が再稼働して初めての選挙で、再稼働の行方を左右する可能性があったこれまでの知事選と状況が違ったことは一つの要因に考えられよう。

 花角氏は就任以来、再稼働の是非については県民の意思を確認するとし、「信を問う手法が明確で重い」としていたが、最終的には県民に直接問うことをせず、県議会に自身の信任、不信任を諮る手法を選んだ。

 直接、再稼働への意思表示をしたいと考えていた県民の中に、再稼働した後の知事選となったことで、投票意欲をそがれた人はいなかったか。

 花角氏は得票を、約70万票だった前回から減らした。

 低投票率や得票減の背景に何があるのか、花角氏は県民の声に耳を澄ませてもらいたい。

 3期目は県民の意見をより丁寧にくみ取り、県政に反映させる姿勢が求められる。

 最大の県政課題である人口減少対策は待ったなしだ。

 県の推計人口は今年5月で204万9175人となった。2018年に花角氏が知事に就任した際には224万5千人だったが、2期目の24年に210万人を割り込み、減少の一途をたどっている。

 人口減少は国全体の問題で、本県に限ったことではない。ただ本県は、県外への転出が転入を上回る「社会減」の影響が他県に比べ深刻な状況にある。

 県が25年に公表した県人口のビジョンは、2100年に100万人で安定させる目標だが、それでさえハードルは高い。

 花角氏は選挙戦で、人や企業、投資を呼び込む成長戦略を展開し、魅力的な企業を増やすと訴えた。若い世代が新潟で働きたいと思う環境を整え、人口減少対策にもつなげる考えだ。

 県民の生活に直結する医療や教育を巡る環境の再構築が急がれる。農林水産業などの維持、発展にも注力が必要だろう。

 ◆魅力の最大化に挑め

 本県の魅力を最大化し、人口流出を食い止めるために独自性を発揮してほしい。花角氏が旗振り役となり、多様な生き方が尊重され、誰もが住みたくなるような風土に、県全体を変えていってもらいたい。

 選挙戦では自民党が全面的に花角氏を支援し、県議52人のうち35人が花角陣営に加わった。県議の7割近くが「知事与党」ということになる。

 だが選挙後は、緊張感を持って知事と相対するべきである。議会に大切なのは、県民本意の県政運営が行われているかを厳しくチェックすることだ。

 立憲民主党の県議だった土田氏は、立民のほか中道改革連合の国会議員らの支援を受けた。

 中道の発足で立民勢力が分散したためか、土田氏の政策にも曖昧さが感じられ、原発問題の争点化は不発に終わった。

 県民の幅広い声を県政に反映するには、立民などの勢力の立て直しが必要だ。