国民の代表を決める選挙制度は民主主義の根幹だ。数の力で強行するような進め方は許されない。幅広い議論が求められる。
高市早苗首相と日本維新の会の吉村洋文代表は、衆院議員定数削減を巡り、早期に与党案を取りまとめ、開会中の特別国会に提出する方針を確認した。今国会中の成立を目指す。
法案の詳細や削減対象は今後協議するが、両氏の会談では現行の定数465から45議席削減する法案を出すことで合意した。吉村氏が主張した比例代表で45減らすことは合意に至っていない。
定数削減は昨年10月に自民党と維新が連立政権を樹立した際に、維新側が掲げた目玉政策だった。12月の臨時国会に小選挙区25、比例20を削減する法案を提出したが、審議入りしないまま、今年1月の衆院解散で廃案になった。
その時も維新は当初、比例のみの削減を求めたが、野党に批判され、小選挙区と比例を組み合わせた経緯がある。衆院選での与党圧勝を受け、維新側は再び比例に限定した削減を主張している。
維新側の前のめりな姿勢が目立つ。維新幹部は「もはや野党に譲歩する必要はない」などと発言していた。あまりにも乱暴な考えが目に余る。
各党の議席に直結する議員定数の在り方は、慣例で野党との合意形成を重視してきた。
協議をせずに一方的に削減案を出すのでは、野党軽視だとして反発は免れない。
2026年度予算案の衆院通過を強行したときのような進め方は容認できない。
自民党内に「数の力で押し切るべきではない」との慎重論があるのは当然だ。
比例で現行の176から131に削減された場合を想定した共同通信の試算では、人口比を反映しやすい「アダムズ方式」で配分すると、全11の比例ブロックで2~7議席が減少する。
本県を含む北陸信越では2議席減が想定される。
地方の声がますます政治に届きにくくなる懸念は拭えない。
各党が衆院選で獲得した議席を基にした試算では、れいわ新選組が現有の1議席を失うほか、参政党は15から9に、国民民主党は28から20にそれぞれ議席が減る。
小規模な政党ほど比例削減の影響が大きい。その一方で、与党の議席占有率は現在の75・6%から80・4%に拡大した。
比例代表は、1人だけを選ぶ小選挙区では拾いきれない多様な民意を反映する役割がある。削減により、少数意見の切り捨てにつながりかねない。
削減数を45とした理由や、削減が国民の意思を示す機会を減らすことにならないのかなど、与党は国民に説明を尽くすとともに、野党と議論を深めねばならない。
