深刻な老朽化が浮き彫りになった。危険な陥没を防ぎ、インフラをいかに維持していくか。国、市町村、住民それぞれの負担を考えねばならない。
国土交通省は、全国の自治体に要請した下水道調査で、腐食や損傷が激しく対策が必要な管路が計748キロに上ったと公表した。
調査結果が判明した下水道管の16%に当たる数字だ。「小さな数字ではない」と国交省が認めるように、劣化が相当に進んでいることを認識したい。
調査は、全国の下水道管総延長約50万キロのうち、直径2メートル以上で設置から30年以上が経過した5332キロを対象にした。原則1年以内の対応が必要となる「緊急度1」は201キロで、このうち本県は1・454キロだった。
恐れるのは、管からの漏水などのため地下に空洞ができ、道路陥没につながることだ。
調査は、埼玉県八潮市で昨年1月に起きた陥没事故を受けて実施した。事故ではトラックが転落し、運転手の男性が亡くなった。1年以上たっても周辺には、なお通行できない道路が残る。
陥没を防ぐためには、こまめな点検が欠かせない。
政府は、管の管理強化に向け、腐食が特に進む恐れがある場所の点検頻度を「5年に1回以上」から増やし、「3年に1回以上」などとする新たな基準を定めようとしている。
ただし今年1月に直径5メートルの穴が開いた新潟市東区の市道のケースでは、市が点検を重ねていたが、陥没の予兆はなかったという。
地下で静かに進行する危機を把握するのは難しいといわれる。国交省は、管だけでなく「地中を含めた複合的な調査」の必要性を指摘している。
調査・補修が急がれるが、技術者不足と財政難が大きな課題だ。
全国の自治体で技術系職員が5人以下の市町村は、昨年4月で約5割に上る。
国は対策が必要な748キロについて、緊急度が相対的に低いケースでも5年以内に対応するよう求めるが、現場からは、難しいとの反応も聞かれる。各自治体が一斉に工事を始めると、民間業者を確保しにくくなるとみられる。
下水道事業は自治体が運営する。住民が支払う料金で点検費用を賄うのが原則だが、人口減による料金収入の減少が響く。
本県自治体から、点検に充てる費用の補助を国に求める声が上がるのは理解できる。地方だけで対応するには限界がある。
専門家からは「社会として料金適正化を受け入れる段階に来ている」との意見も上がる。値上げの是非を検討することも避けられないだろう。
行政は、住民との対話を通し、地域をこの先も持続させていく展望を示してほしい。
