煙が上がり続けている。避難が長引く人たちの疲れが心配だ。広域から協力を得て、鎮圧へ力を尽くしてもらいたい。

 岩手県大槌町で22日に発生した山林火災は、鎮火のめどが立っていない。これまでに住宅を含む建物8棟が焼けた。県が上空から目視で確認した延焼範囲を示す「焼損面積」は、27日午前6時時点で1600ヘクタールを超えた。

 林野庁によると、昨年2月に約3370ヘクタールを焼いた岩手県大船渡市の山林火災に次ぎ、平成以降で国内2番目の規模となっている。

 地元の消防に加え、本県をはじめとする緊急消防援助隊や自衛隊などが懸命に消火活動をしている。安全を十分確保した上で、被害を食い止めてほしい。

 避難指示の対象は3千人を超えており、大槌町の人口の3割に当たる。東日本大震災の津波被害後に再建された住宅もあり、再び家を失う不安を抱えて避難する人たちの体調が懸念される。

 平野公三町長は「長丁場になってきており、避難者に医療や介護で支援が必要だ」と述べた。国も積極的に関与し、避難者への支援を充実させなければならない。

 今回の火災は、乾燥、強風の注意報が出る中で起きた。大規模な延焼について、大槌町を視察した専門家は、強風にあおられ樹木の上部を炎が伝う「樹冠火(じゅかんか)」が起きた可能性を挙げる。

 樹木の上部は風を受けやすいため、急速に延焼しやすく、風向きが変わった際には火も急に燃え移るとされる。

 昨年3月に岡山市南区と愛媛県今治市で起きた大規模な山林火災でも、樹冠火が発生した可能性が指摘された。どの地域でも起き得ることとして、警戒が必要だ。

 林野庁の統計によると、2020~24年に起きた山火事で、出火はたき火をはじめ、火入れ、放火、たばこといった人為的な原因が大半を占めた。

 山火事は、消防用の水源が限られ、現地に到着するのにも時間を要するなど、消火も難しい。大槌町の出火原因は分かっていないが、火がいったん広がると制御が困難なことを心に刻み、火をより慎重に扱う契機としたい。

 県内でも26日に魚沼市、長岡市で山林火災が起きた。いずれも27日に収まったが、近隣の人から火の広がりを驚く声が上がった。大槌町の火災は人ごとではない。

 行楽や作業で山に入る場合は、気象情報に留意し、火の管理に万全を期すことが求められる。