新年度が始まった。期待に胸を膨らませ、新生活の一歩を踏み出した人は多いだろう。
一方で、世界で続く戦火が日常に影を落とす視界不良の中でのスタートでもある。世界情勢と国内政治の動向にしっかりと目を凝らしていかねばならない。
県内では1日、各地で入社式や入庁式が行われた。新社会人から「信頼される人になりたい」「人の役に立ちたい」といった抱負が聞かれたことは頼もしい。着実に歩みを進めてもらいたい。
ただ、長引く物価高などが国民生活に影響することは気になる。
帝国データバンクの調査では、4月はマヨネーズや食用油など、2516品目の飲食料品が値上がりする。トイレットペーパーといった日用品も高くなる。
電気・ガス料金は政府の補助が終了し、標準家庭向けが4月使用分から上昇する。
深刻なのは、米国とイスラエルのイラン攻撃で中東情勢が混乱し、世界経済を不安定化させていることだ。原油価格の高騰で、石油関連製品をはじめ、幅広い産業が打撃を受けている。
日銀が発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)は、大企業製造業の景況感が改善したものの、中小企業は悪化した。3カ月後の先行き指数は、大企業、中小企業ともに下落している。
今後の中東情勢によってはさらに悪化する恐れがあるだろう。
暮らしに乗用車が不可欠な地方ではガソリン価格の高騰も影響が大きい。政府が価格抑制の補助金を支給してはいるが、いつまで家計が圧迫されるか不安がある。
国際社会が協調し、一刻も早い終戦に導くことが、私たちの生活を守る上でも不可欠だ。
今月からは税制など国の制度も変わる。防衛力強化の財源とするため、法人税とたばこ税が上がり、日本たばこ産業などが加熱式たばこを値上げする。2027年には所得税の増税が控えている。
いずれも22年に決まった国家安全保障戦略を受けた増税だ。この戦略を含む安全保障関連3文書は26年中の改定が想定され、防衛費がさらに膨らむ可能性がある。
財源によっては国民負担が一段と増えることが否定できない。
この春は、子育て支援の環境も変わる。親の就労に関係なく子どもを預けられる「こども誰でも通園制度」が全国で開始となる。少子化対策の財源とする支援金制度も始まり、公的医療保険料に上乗せして国民に負担を求める。
高校授業料の無償化は、所得制限の完全撤廃など大幅拡充する。
国会では、消費税減税や給付付き税額控除を協議する社会保障国民会議が、夏前のとりまとめを目指して議論を本格化させる。
負担の在り方や税金の使途が妥当かどうか。政治任せにせず、国民が監視していく姿勢が必要だ。
