過去最大規模の予算をしっかり議論できたのか、疑問が残る国会運営だった。今後の法案審議には丁寧な合意形成が求められる。
2026年度当初予算が7日、参院本会議で、自民党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。参院は少数与党のため、日本保守党や無所属議員らの賛同を得て過半数を確保した。
予算成立が4月にずれ込んだのは15年以来11年ぶりだ。これに伴い、3月末に成立した暫定予算が失効する。
当初予算は一般会計の歳出総額が122兆3092億円と2年連続で最大を更新した。高市早苗首相が掲げる「責任ある積極財政」を反映したものの、金融市場では財政悪化への懸念が強い。
日本を巡る安全保障環境の厳しさを踏まえ、防衛費は初の9兆円を超えた。高齢化に伴い社会保障関係費も増えた。適正な予算執行が欠かせない。
首相が年度内成立にこだわり、衆院での審議時間が大幅に短縮されたことは看過できない。
通常国会冒頭の衆院解散で、予算案審議は1カ月ほど開始が遅れた。しかし衆院で自民が3分の2を持つ数の力を背景に、首相は3月中の成立を指示した。最終的に審議時間は00年度以降最短の59時間しか取られなかった。
省庁ごとに細目を審議する分科会も、37年ぶりに開催されなかった。議会を軽視した異例の展開だったと言えよう。
参院と合わせても、予算案の国会提出から成立までの日数は47日で、戦後3番目の短さだった。
共同通信が4、5日に行った全国電話世論調査では、「審議時間確保がより重要だ」とする回答が54・0%で、「年度内成立がより重要だ」の38・0%を上回った。
首相の姿勢へ批判的な考えが多く、理解を得られなかったことは明白だ。強引な手法を二度と繰り返してはならない。
審議時間の積み上げを重視し政策議論を深められなかった野党にも責任がある。
米国とイスラエルのイラン攻撃が長引き、中東情勢の悪化が国民生活に与える影響への懸念は強まるばかりだ。
予算には、緊迫する中東情勢への対策が盛り込まれていない。首相は予算に計上した1兆円の予備費を活用する考えだ。
ただ、予備費は自然災害への対応などに残しておく必要があり、財源には限りがある。与党内では補正予算の編成を求める声も上がっている。先行きが見通せない中、柔軟な対応が必要だろう。
後半国会に向け、医療保険制度改革の関連法案や「国家情報会議」創設法案といった重要法案の論戦が本格化する。
首相は説明を尽くし、丁寧な審議を通して、与野党の合意を図らねばならない。
