日本の国債残高は1千兆円を超えた。途方もない借金だが、金額が大き過ぎていまひとつピンとこない。視覚に訴えるなら1000000000000000円という書き方か。0が15個も並ぶ

▼規格外の二刀流で活躍を続ける米大リーグ・大谷翔平選手を物差しにしてみる。先日の報道によると、大谷選手と契約延長するには大リーグ史上最高額の年俸約58億円を上回る必要があるという。そんな超大物をもってしても、1千兆円を稼ぐには17万年以上かかる

▼昨年10月の衆院選直前に当時の財務事務次官が月刊誌に寄稿した「ばらまき合戦」批判を思い出す。寄稿の題名には「このままでは国家財政は破綻する」とある。各党の政策論争に対し「国庫には、無尽蔵にお金があるかのような話ばかり」と一石を投じた

▼しかし、その後も新型ウイルスや物価高の対策として積極的な財政は続いている。10日に投開票を控える参院選でも、各党や候補者は国民生活を支える歳出の拡充や減税などを景気よく公約する

▼今の困難を乗り越えるための政策はもちろん必要だ。一方で1千兆円という天文学的な借金は膨らみ続けている。財政赤字は問題ないとする理論を唱える向きもあるが、子や孫の代に禍根を残さないか不安がのしかかる

▼巨額の借金以上に首をかしげたくなるのは選挙戦で財政再建についてほとんど語られないことだ。選挙で勝つために、候補者らが「不都合なことは語らない方がいい」と考えているとしたら、有権者は不幸だ。

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