
ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエル軍によるガザ攻撃、米国とイランの交戦―。近年起こっている人間同士の争いの激しさに、ついつい忘れそうになるが、人類が長く対峙してきたのは自然の脅威であった。
普遍だと思っていた自然の営みが変化した時、大きく動揺する人間たちの姿を描いた本書は、世界は人間が主役として動き回る「舞台」ではなく、人間も含めたあらゆる命が織りなす複雑なシステムであるという事実を改めて突きつける。
物語の中心となるのはラシェラン国の聖地「闇の大井戸」。人々が糧としてきた植物ラムラーの受粉は、地下深くにつながったこの井戸から年に数回舞い上がってくる「神の蝶」が担うが、同時に蝶を食らう「...
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