ウクライナは、ロシアの侵攻を受けてから4カ月以上たっても持ちこたえている。その背景にあるのは欧米からの武器支援に加え、通信システムを確保していることが大きいらしい

▼米実業家イーロン・マスク氏が率いるスペースX社が開発した「スターリンク」を活用する。小型の人工衛星による通信システムだ。通信設備が破壊された前線でも、専用アンテナがあればロシア軍の映像や位置についてのデータをやり取りすることができる

▼ウクライナは「東欧のシリコンバレー」とも呼ばれるIT大国だ。IT業界は侵攻後もビジネス活動を継続している。ITインフラに深刻な被害は出ておらず、一部の企業はスターリンクも活用できるようだ

▼現代の社会で、通信網がどれほど大きな役割を果たしているかが分かる。そんな中で起きたKDDI(au)の大規模障害は、私たちの暮らしがいかに通信に依存しているかを見せつけることになった

▼携帯電話の通話やネット接続ができないだけではない。気象庁の地域気象観測システム(アメダス)のデータが伝えられなくなり、荷物の配送状況を確認する運送会社のシステムも稼働しなくなった。一部のATMが使えなくなった金融機関もあった

▼今後の暮らしは、さらに通信システムへの依存を強めていくはずだ。普及が期待される自動運転も通信が欠かせない。災害で幹線道路が寸断されれば、迂回(うかい)路を代替ルートにする。通信インフラにも迂回路のような仕組みが必要なのだろう。

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