
御燈祭りの日、堅田裕見子(左)の家を訪れ、荒縄を巻いてわらじを履いた北原潤希。わらじ作りの作業場の家屋(後方)には、たいまつがつり下げられていた=2026年2月、和歌山県新宮市
闇の中で無数の炎が揺らめいていた。
熊野の神々が最初に降臨したとされる和歌山県新宮市の神倉神社。山中の神域に、ご神火がともるたいまつを持った約1500人の白装束の男たちがひしめき合う。ウオオ。雄たけびのような声が響く。山門が開放されると若者らが石段を駆け降りていく。その後にゆっくり歩いて下る男衆が列になって続き、父に連れられたあどけない子どももいる。
毎年2月6日の「御燈祭り」は男の祭りだ。地元以外からも参加でき、女たちは男たちをふもとで迎える。その中に今年も堅田裕見子(58)がいた。「幼い頃から祭りありきの父を見てきた。祭りが近づくと血が騒ぐ」
新宮市で理容店を営みながら男たちが履くわらじを作っ...
残り1830文字(全文:2129文字)
















