存在感の低下は否めない。だが欧州と米国の決裂を回避し、かろうじて結束を維持したことに意義を見いだしたい。
フランス東部エビアンで開かれていた先進7カ国首脳会議(G7サミット)が、ウクライナ、中東など地域情勢に関する共同声明を出し、閉幕した。
米国とイランの戦闘終結に向けた合意発表を歓迎した。
注目されていた包括的な首脳宣言の取りまとめは、見送られた。意見対立が露呈する事態を避けるためとみられる。
昨年のカナダでのサミットに続く見送りだ。重要課題である地球温暖化対策を議題にすることもできなかった。
国際的な課題を調整し、解決する役割を担ってきたG7の機能不全が深刻の度を増していることを危惧する。
分野別の共同声明を出すことで、なんとかサミットの体面を保ったといえる。
昨年はウクライナ情勢に関し、侵攻するロシアを非難する文言に米国が反発したことで声明を出すことができなかった。トランプ米大統領は初日の討議後、早々に帰国するほどだった。
今回、共同声明を通し、ウクライナへの「揺るぎない支持」を表明したのは前進である。
防空能力の支援や、ロシアへの石油・ガス部門を含めた制裁措置強化を打ち出した。
一方、イラン攻撃を巡っては、トランプ氏が、ホルムズ海峡の安全確保に欧州諸国が非協力的だとして不満を募らせた経緯がある。
トランプ氏はG7の枠組みについても「時代遅れ」として軽んじてきた。しかし今回は、閉幕後の記者会見で「最も成功したサミットの一つだ」と評価した。
米欧の関係悪化が懸念された中でトランプ氏をつなぎとめ、一定の結束を演出したのは、成果といえるだろう。
人工知能(AI)の安全な利用推進を確認したほか、高市早苗首相が唱える重要鉱物の共同備蓄構想でも一致した。
レアアースの輸出規制を強化する中国への懸念を共有するもので、同志国や国際機関とも協力して緊急時に備蓄放出で連携する考えに各国が理解を示した。
重要鉱物の分野は、G7が結束を示すことができる数少ない分野だったといえる。
成果文書では、中国を名指しこそしなかったが、輸出規制などの経済的威圧に対し、「必要に応じて協調的な形で措置を講じる用意がある」とした。
確かな供給網を構築するため、協力を進めたい。
国際社会の分断を深めてはならない。求められるのは安定だ。かじ取りを担うG7首脳の対話を通し、不和を乗り越える努力を続けねばならない。
