あまりにも急激な負担の引き上げだ。いまや外国人は共に日本社会を支える存在で、厳格化が排外主義を助長しないか懸念する。

 外国人の在留手続き手数料の上限を引き上げる改正入管難民法が成立した。上限は、現行の1万円から、期間更新などが10万円、永住許可が30万円になる。2026年度中に適用する。

 実際の在留資格変更・期間更新の手数料は6千円、永住許可が1万円だが、それぞれ大幅に引き上げられる見通しだ。

 出入国在留管理庁によると、実際の額の目安は、在留許可を求める期間が3カ月以下の場合は1万円程度、1年で3万円程度、3年で6万円程度、5年で7万円程度、永住許可は20万円程度となる。

 政府は引き上げの理由として、外国人が増えたことによる審査や在留管理の費用が増加したこと、物価高騰への対応などを挙げた。

 だが、手数料が一気に10倍以上になる人もいる。配慮を欠いていると言わざるを得ない。国会審議で「民間の感覚から乖離(かいり)している」と批判があったのも当然だ。

 低所得の人や、家族が多い人への負担が大きい。外国人の中には日本を離れることを検討する人もいるという。

 就労系の在留資格を得ている外国人の多くは、日本国内の人材不足に合わせて来日した人たちだ。外国人労働者がいなくなってしまえば、さまざまな現場で人手不足になりかねない。

 支払いが困難な人への対応が求められる。改正法は経済的事情から納付が難しい場合に減免措置を導入するともしているが、その対象は不明確だ。減免措置の対象となる要件を早急に示すべきだ。

 外国人を多く雇用する日本企業への影響も気にかかる。

 在留手続きの手数料を会社と本人が折半しているケースもあり、多く雇用していれば負担はかさむ。物価高に直面する中小企業にとっては大きなコスト増になるのではないか。

 手数料の上限引き上げは「秩序ある共生」を掲げる高市早苗首相の外国人政策の一環だ。

 昨年10月には日本で起業などをする外国人向けの在留資格取得に必要な資本金を500万円以上から3千万円以上に引き上げた。

 日本国籍を取得する「帰化」などの手続きも厳格化する。

 不法滞在者のほか、法やルールを逸脱する外国人への対応というが、入管庁によると、今年1月時点で不法残留している外国人は約6万8千人で、最も多かった1993年の約29万人から大きく減少している。

 人口減が進む中で、社会生活や経済活動を維持するためには外国人材が欠かせない。

 日本語教育プログラムの充実など、共生社会の実現に向けた取り組みにも力を注いでもらいたい。