わずか3日の審議であれば、もっと真摯(しんし)な答弁を聞きたかった。核心に触れず、かわす姿勢が目立ったことは残念である。

 2026年度補正予算は5日、参院本会議で、与党のほか野党の国民民主党などの賛成多数で可決し、成立した。

 中東情勢の混乱長期化によるエネルギー価格高騰を和らげる家計支援が柱だ。夏場の電気・都市ガス料金を抑えて、ガソリン補助金を継続する。

 一般会計の歳出総額は3兆1135億円で、2兆5千億円を「中東情勢等対応予備費」に充てる。

 予備費は、使途を決めずに計上でき、内閣の判断で支出できるが、国会審議を経ないため、使途や金額へのチェック機能が働きにくいと指摘される。

 それだけに、ほぼ予備費が占める今回の補正予算は、審議段階で内閣の考えを十分にただし、方向性を確認する必要があった。

 だが高市早苗首相は、野党に「なぜほぼ全額予備費なのか。何をやっていいか分からず、ノープランということか」と問われても、「予備費でタイムリーに対応する」と答弁しただけだ。

 財政の持続性の観点から、ガソリン補助金を縮小していく考えを表明したものの、出口戦略までは語らなかった。

 赤字国債で賄う財源については25年度分の国債発行額が税外収入などで減るため、今後の発行分も含めた総額は変わらないとした。

 借金残高は結局、増えることになるのだが、財政面の議論が深まったとも言えない。

 そもそも3日間しかない審議日程に無理があるだろう。

 首相は飲食料品の消費税減税に向け、秋に見込む臨時国会に関連法案を提出する意向も示した。

 今月下旬にも、1%に下げる案を軸に、首相が最終判断すると伝わるものの、追及には「現段階で方向性は何ら決まっていない」としてかわすだけだった。

 国会審議をやり過ごし、その後は意のままに政策を進めようとしているのなら問題だ。国会の論戦を軽視してはならない。

 昨年の自民党総裁選の際に首相陣営が他候補を誹謗(ひぼう)・中傷する動画を作成・投稿したとする週刊文春報道を巡る応酬もあった。

 文春側は動画を作成した男性と首相の公設第1秘書との会話とされる音声をインターネット上で公開したが、首相は「秘書本人のものかどうか判断するのは難しい」とし、違和感があるとした。

 秘書と男性には面識はないとした一方、オンラインでのやりとりは「事務所には記録がなく、分からない」と答弁した。

 疑惑の払拭は首相にしかできないことで、首相には丁寧に調べて説明する責任がある。それをしないまま、国会の貴重な審議時間が費やされるのは歓迎できない。