物価を抑えることができるか、その効果を見定める必要がある。景気を過度に冷やさないか、マイナス面への目配りが欠かせない。

 日銀は16日の金融政策決定会合で、物価や景気を調節する政策金利を現行の0・75%程度から1・0%程度に引き上げることを決めた。1995年以来の高水準で、利上げは昨年12月以来だ。

 会合後に記者会見した内田真一副総裁は、原油高により幅広い商品が値上がりする可能性を指摘し、物価上昇率を前年比2%で安定させる日銀の目標を超えることに懸念を示した。

 中東情勢に関しては、エネルギーの代替調達が進展しているとして、経済の減速リスクが「低下している」と述べた。

 5月の企業物価指数は前年同月比6・3%上昇で、4月を1ポイント上回った。企業物価は家庭の購入する商品を対象とした消費者物価指数の先行指標とされ、インフレ懸念が強まっていた。

 米国とイランの戦闘が終結しても原油が期待したほどは下がらないとの見方が強まり、日銀の対応が後手に回っているとの指摘もある。日銀は引き続き、政策金利を引き上げる方針だが、インフレ抑制の効果を見極める必要がある。

 円安を是正できるかも注目点である。日本の金利は米国に比べて低く、円安ドル高傾向が続き、輸入品の値上がりに直結している。

 政府、日銀は4~5月に円買いの為替介入に踏み切ったが、現在は介入前の円安水準に戻り、利上げを求める声は根強かった。

 ただし、米国の中央銀行に当たる米連邦準備制度理事会(FRB)が将来利上げし、金利差が広がれば、円安となる可能性がある。新議長の下でのFRBの動向も注視しなければならない。

 利上げに伴って普通預金や定期預金の利息は増え、貯蓄の多い富裕層には恩恵となる。懸念されるのはデメリットだ。

 変動金利の住宅ローンは一定期間後に月々の支払額が増える。今後住宅を購入する世帯にとってはハードルが上がるだろう。

 企業への貸し出し利息も増える。高い金利負担を懸念して企業が設備投資を控えれば、景気を減速させかねない。

 日銀は、物価高騰を抑えながら景気を支えるという難しい局面を迎えたと言える。より慎重なかじ取りが求められよう。

 16日の東京株式市場は、日銀の利上げ決定は予想の範囲内との受け止めから、日経平均株価が続伸し史上初めて7万円に乗せた。4月に6万円を突破してから2カ月足らずで大台を塗り替えた。

 人工知能(AI)半導体関連銘柄の一角が買われて相場を押し上げた。ただし、AIブームに実態が伴っているかどうかに懐疑的な声は根強い。注意深く見ていく必要がある。