童謡は、たたくとビスケットが増えるポケットが欲しいと歌う。女性の立場からすると、男物のジャケットにある内ポケットがうらやましい

▼女物では内ポケット付きは少数派でポケットがゼロのジャケットも珍しくない。衣料品店で聞くと、男女の体形差や服に求めるシルエットの違いなどが理由という。困るのは名刺交換の場面だ。ジャケットの内側からすっと名刺入れを出す男性を前に、慌ててバッグを探る羽目になる

▼何か不便で、どうも窮屈。働く場で使うものに、そんな思いを抱える女性は多いのでは。そう考えていたとき、本紙経済面の記事に目がとまった。県内の建設大手が作業服を一新するという

▼変更には社員、中でも女性の声を積極的に取り入れた。従来は男女でデザインと機能性に違いがあったが、女性から「同じものを着たい」との意見があり統一した。ストレッチ性を高めるなど丸みのある女性の体形に合わせた配慮もした

▼同社では女性社員が年々増えている。採用担当者によると「価値観やものの見方が違う人が加わることで、現場でよりよい配慮ができるようになる」。多様な人が働きやすい環境を整えることで、さらに幅広い人材を呼び込む好循環ともなりそうだ

▼大学の工学系学部は建設業界に多くの学生を送り込んでいるが、国の調査では女性の入学生は15%と理系の中でもとりわけ低い。体に合った服で伸びやかに働く先輩たちを目の当たりにすれば、進路の選択にも変化が生まれるかもしれない。

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