いまだに被害の全容がつかめない大災害だ。人命救助を最優先に国際社会が結束して支援したい。
南米ベネズエラで起きた連続大地震の被害が拡大している。地震は6月24日、マグニチュード(M)7・2とM7・5の規模で約1分のうちに相次いで発生した。
震源は北西部のヤラクイ州で、震源から約170キロ離れた首都のカラカスでも建物が倒壊した。ロドリゲス暫定大統領は国家非常事態を宣言した。
国連人道問題調整室によると、国内で少なくとも2500棟の建物が崩壊するなどの被害を受け、多数の人が巻き込まれた。
被災地は電力や通信などインフラ施設も多く破壊されており、情報が入り乱れている。
ベネズエラ側は29日時点で、死者が1700人を超えたとするが、国連は当局との合意により1万枚の遺体収納袋を調達していると明かした。
甚大な被害である。被害状況の把握と共に、救助が急がれる。
行方不明者の生存率が著しく下がる「発生後72時間」を経過したが、現地では救助活動が続いている。28日にも少なくとも7人が国際救助隊に救出された。
一人でも多くの命が救われることを願いたい。
ベネズエラでは政情不安が続く。強権的な政治を続けていた反米左派のマドゥロ大統領が1月に米軍の急襲で拘束された。副大統領だったロドリゲス氏が米国と連携して暫定政権を運営してきた。
近年の政権下で行政による監督が不十分だったことが建物倒壊を招いたとの指摘もある。安全より利益を優先し建築基準が守られず、それを行政が見過ごしていたのなら、あってはならないことだ。
暫定政権は米トランプ政権の意向に沿った改革を進めてきた。石油輸出は量、価格共に改善したが、インフレは解消せず、市民生活は向上していない。災害対応を誤れば内政が混乱する恐れもある。
人々の生活再建や、インフラの復旧は簡単ではない。各国・機関が連携せねばならない。
米国務省は人命救助のための資金拠出を3億ドル(約485億円)以上に増やしたと発表した。米軍も動員して支援を進める。中南米の周辺諸国も援助している。
高市早苗首相も「可能な限りの支援をする準備がある」と表明した。政府は緊急援助物資を送ることを決めた。復旧復興に向け、積極的に取り組みたい。
