司法は「解散」という判断で区切りを付けた。だが、これで解決ではない。社会として被害者とその家族の苦しみに向き合っていく必要がある。

 最高裁第3小法廷は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散を命じた東京高裁決定を支持し、教団側の特別抗告を棄却する決定をした。これにより解散を命じた司法判断が確定した。

 裁判長は、信者らの精神的、宗教的影響を考慮しても「解散は必要でやむを得ない」と判断した。

 宗教法人への解散命令は3例目だ。過去2例は刑事事件化した犯罪行為が理由で、献金勧誘という民法の不法行為によるものは初めてとなる。

 最高裁は「社会通念上相当な範囲を逸脱しない方法では達成できない数値目標を定め、献金の勧誘を求めた」と指摘した。教団による組織的関与があり「著しく公共の福祉を害した」と認定した。

 悪質な手法により、甚大な被害を生んだ教団の責任が厳しく問われるのは当然である。被害者への弁済などの清算手続きに全面的に協力しなければならない。

 教団は、解散命令が憲法の保障する「信教の自由」に違反すると主張していた。これに対して最高裁は「解散命令は法人格を失わせる効力にとどまり、宗教団体として存続することは妨げられない」と説明した。

 解散という重い結論に至ったのは、搾取ともいえる手法を断ち切る自浄作用を教団に期待できなかったからだろう。

 3月の高裁決定は、勧誘の損害額が1973年から2016年に約74億円生じたと認定した。教団は09年にコンプライアンスの徹底を宣言したが、その後も献金収入を維持しようとした。

 信者を親に持つ「宗教2世」による安倍晋三元首相銃撃事件が22年に起きた後も、韓国本部の総裁が資金拠出を要求する姿勢を維持していたと高裁は推認している。

 教団がことごとく誠実さを欠いてきたと言わざるを得ない。

 課題は、弁済と再発防止だけではない。家庭を壊されるなどして傷が癒えない宗教2世の救済が欠かせない。

 解散命令が確定しても「教団を巡る問題が解決したわけではない」との2世の声を社会として重く受け止めたい。

 教団と自民党議員との不透明な関係も、真相が十分に解明されないままである。

 銃撃事件後の自民の調査で、教団側と接点が確認された国会議員は180人に上る。教団側から組織的な支援を受けた疑いが取り沙汰された。ただし、解散命令を巡る裁判では、ほとんど論点にならなかった。

 献金被害の背景に政治の「お墨付き」がなかったか、明らかにする努力を自民に求めたい。