安全な運航を支えるのは経営の安定だろう。新体制の下で経営改善を進め、信頼を取り戻すことが急務である。

 新潟空港を拠点とするトキエアの定時株主総会で、和田直希・代表取締役CEO(最高経営責任者)の取締役選任議案が反対多数で否決され、和田氏が退任した。

 株主総会では、和田氏の資金調達役としての手腕を疑問視する意見が上がったという。事実上の解任と言えよう。

 背景には、トキエアの厳しい経営状況がある。

 2026年3月期末の債務超過は29億4684万円と、前期末の6億2294万円から大きく膨らんだ。26年3月期決算も、旅客数や搭乗率は伸びたが、航行費や航空機材費がかさみ、純損益が24億2290万円の赤字となった。

 経営の危うさは、目に見える形で表れている。県から就航支援として受けた11億6千万円の融資は、昨年10月が初回の返済期限だったが、1年先送りとした。従業員への給与の支給も昨年6月以降で4回遅れた。

 こうした苦境下、財務やマーケティングを担ってきた和田氏に、株主が不満を募らせたのは理解できる。関係者によると、和田氏による資金調達は1件もなかった。

 和田氏は昨年6月、国内外で事業展開をしてきた実績を評価され、トキエアに迎えられた。経営のノウハウが十分生かされなかったのは残念だ。

 和田氏が社長を務めるエンターテインメント事業のLAND(東京)は、トキエア株の29・36%を保有する筆頭株主でもある。和田氏の退任で株の保有に影響が生じないか、注視する必要がある。

 トキエアの再建はこれからが正念場だ。和田氏を招き入れた創業者の長谷川政樹氏も混乱を生んだ責任は免れない。経営の展望を示すべきだ。

 長谷川氏が課題に挙げるのは機材の稼働率向上だ。これまでは機長の人数が限られ、稼働率を上げられなかった。航空人材の確保は全国的な問題となっている。着実に人材を確保し、収益改善につなげねばならない。

 名古屋-札幌線を9月1日から運休し、より需要や利益の見込める路線に機材を振り向ける方針も示した。名古屋-札幌線は昨年10月に就航したばかりだ。柔軟な変更は必要だが、今後は先々を見通した経営判断が求められる。

 電子部品用材料を製造する新潟市北区のナミックスが、トキエア株の追加取得を検討していることは、債務超過額の圧縮に向けた明るい材料だ。

 経営危機の中でも、県内企業や県が支援を続けるのは、地域航空への期待に他ならない。

 トキエアは地域の期待を裏切ることなく、運航の安全へ経営を早期に安定させてもらいたい。