市民が非戦の誓いを新たにした長岡市平和祈念式典=1日、アオーレ長岡
市民が非戦の誓いを新たにした長岡市平和祈念式典=1日、アオーレ長岡

 長岡空襲から76年となった1日、新潟県長岡市の各地で慰霊の行事が催され、1488人の犠牲者に市民が祈りをささげた。二度と戦争は繰り返さない-。時がたっても癒えない心の痛みを抱える遺族、平和への願いを受け継ごうとする子どもたちが思いを一つにした。

 アオーレ長岡では、市主催の平和祈念式典が行われた。新型コロナウイルス感染拡大で昨年に続き人数を大幅に絞り、約230人が参加。遺族や小学生ら8人が代表して献花した。

 当時12歳の櫻井信子さん(88)が、一緒に逃げた母を失った体験を語った。母は腹を負傷して苦しみ、5人の子どもを残して亡くなった。櫻井さんは「母の無念を抱えて76年生きてきた」と語り、「1488人の一人一人に未来や人生があったはずだ。生きたいと思いながら亡くなった人たちに心を寄せてほしい」と訴えた。

 参加した70代の男性は「世界中で戦争や紛争がなくならないのは残念だ。世界の子どもたちが手をつないでいくことを期待したい」と願った。

 境内にあった防空壕(ごう)で多くの人が亡くなった平潟神社(表町1)では、約20人が参列して戦災殉難者慰霊祭が営まれた。姉を亡くした80代の女性は「姉のことを一日も忘れたことはない。平和のために高齢な私にもできることはやりたい」と話した。

 犠牲となった学童や教職員を慰霊する平和像がある平和の森公園(本町3)でも追悼行事が開かれた。市内14の小中学校の児童生徒ら約280人が黙とうし、花輪や千羽鶴を手向けた。

 級友と鶴を折った表町小6年の男子児童(11)は「僕たちにできるのは戦争を起こさない強い気持ちを持ち続けること。鶴に込めた思いが届き、安心してもらいたい」と力強く語った。

 身元が分からなかった犠牲者が眠る昌福寺(四郎丸4)では、市仏教会が法要を行い、冥福を祈った。