「福、笑い」「風さやか」「恋の予感」…。全国各地で最近売り出されているコメはユニークな名前を持つものが多い。コメ余りが続く中、消費者の関心を引く狙いがあるからだろう。味にもそれぞれ特徴がある

▼JA全農は全国43銘柄を対象に食味マップを作成した。粒の硬さと甘みの強さを基準に、食味の違いが図表で一覧できる。本県は5年前にデビューした「新之助」が選ばれ、甘みがあって硬さがしっかりしている点で他に抜きんでている

▼コメの個性にマッチした料理も一品ずつ紹介されている。例えば、もちもちで強い甘みが特徴の福島県産「福、笑う」には、和風ハンバーグがお薦めという。では、本県代表の新之助は?

▼なんと、シンプルに「塩おにぎり」。料理じゃないと言うなかれ。選定に協力した「5ツ星お米マイスター」の澁谷梨絵さんは「シャープで粒立ちが美しく、上質なうま味を持つ。まずは塩おにぎりで試してみてください。一粒一粒が立って、口に入れるとほろりとほぐれます」と評価する

▼厳しい栽培基準や食味・品質基準を守って生産している農家にとっては最大の賛辞だろう。本県のブランド米では「大先輩」のコシヒカリも、おにぎりにしておいしいのは誰もが納得するところ

▼県内はコメの収穫の真っ最中だ。今夏は異常高温が続いた。台風の到来も心配だ。ウクライナ侵攻などの影響で肥料や農薬が高騰した。農家が苦労して育てた新米を、ふっくら握って秋の日のお出掛けのお供にしては。

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