「10・23 どこに居(い)るかが最重要」。J2アルビレックス新潟のサポーターは今季、この言葉を記した横断幕をスタジアムに掲げてきた
▼10月23日のリーグ戦最終節が終わった時点で、J1自動昇格圏の2位以上に位置していること。今季の目標はただこの一点にあると訴えた。その願いに応え、選手やスタッフは昇格とJ2優勝を成し遂げてみせた
▼きのう投開票された新潟市長選は「10・23」時点の新潟市の現在地を、どう評価するかという意味合いもあった。日本海側初の政令市になって15年。現市政のこれまでとこれからを、有権者がどのように見るかが問われた選挙でもあった
▼課題は数多く指摘されていた。政令市移行時に約81万人だった人口は、ことし9月1日時点で約77万9千人に減った。総務省の統計によると、2020年の1人当たり市民所得は政令市で最低の312万円だった
▼公共交通の維持や利便性向上については市民の関心も高かった。合併前の市域と合併地域との格差を指摘する声もあった。こうした課題にどう向き合うのか。選挙戦で議論が十分に深まったかといえば心もとない。一時は無投票になるとの見方さえあったようだ。活力という点で、この選挙に物足りなさを感じた有権者も少なくなかったのではないか
▼中原八一さんが再選を果たした。手堅い市政運営が一定の評価を集めたといえる。ただ、手堅いだけでは都市間競争の中で埋没しかねない。アルビに倣って、大きな目標を掲げてみませんか。