夫婦で特定のサービスを利用すると割引が受けられる「夫婦割」を廃止する動きが目立つ。JR各社は、グリーン車に乗り放題の切符「フルムーン夫婦グリーンパス」の販売を終了。映画館各社も相次いで夫婦割を廃止している
▼生涯独身で通す人の増加や、ジェンダーに関する意識が変化し人々の生き方が多様化していることが背景にあるという。JRの夫婦グリーンパスの場合、事実婚や内縁関係でも買えたが同性カップルは対象外。その点が交流サイト(SNS)で話題になったこともあった
▼新潟市中央区の市民映画館シネ・ウインドは以前は夫婦のどちらか50歳以上なら割り引きしていたが、性別を問わない制度に今春改めた。性的少数者のカップルの権利を一定程度認める「パートナーシップ制度」を市が導入したことがきっかけになった
▼性的少数者の権利に関する市民の意識は変化している。日本では同性婚が法的には認められていないが、ことし5月の共同通信の世論調査では同性婚を認める方がよいと回答した人が71%に上った
▼結婚できないことで、パートナーの法定相続人になれなかったり、遺族年金が受給できなかったりする不利益がある。それでも政治の世界の対応は鈍い
▼自民党の一部議員と旧統一教会の関連団体が交わした「推薦確認書」には同性婚合法化への慎重な対応も盛り込まれていた。性的少数者の権利拡大に、かたくなに反対する背景には、こうしたこともあったのか。妙に合点がいく思いがする。