「風流踊(ふりゅうおどり)」は盆踊りや念仏踊りなど、地域ごとに多様な形で親しまれ、伝えられてきた民俗芸能だ。柏崎市の「綾子舞」と魚沼市の「大(だい)の阪(さか)」を含む、全国41件の風流踊が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録される見通しになった

▼「ふりゅう」と読む際と「ふうりゅう」と読む場合は何が違うのか。広辞苑を開くと「ふりゅう」の項目にはまず「ふうりゅう」を参照せよと書いてある。次に出てくる説明は、芸能についてだ

▼「『みやびやかな』の意から出たもので、趣向を凝らした作り物や仮装を伴う」とある。「ふうりゅう」の項目を見ると、意味の一つに「みやびやかなこと」と出てくるので、基本的に両者の意味はほぼ重なるのだろう

▼もっとも「ふうりゅう」には程遠い暮らしを送るわが身には、風流とは何ぞやと問われても確たる答えは浮かばない。実際かなり広い意味を有しているようだ。元々は先人の遺風や伝統などを指した

▼時代の移り変わりとともに上品で優雅な趣や、美しく着飾ったり、華やかでぜいたくな意匠を凝らしたりすることも意味するようになった。さらには、自然の風情や詩歌に親しむことも含むようになったという

▼どこか、つかみどころのないような言葉だが、僧侶で作家の玄侑宗久さんが風流とは「ゆらぎ」のことだと書いていた。「もっと言えば、動揺も含め、心がゆらぐような感動である」。思わず「なるほど」と膝を打った。綾子舞も大の阪も、人の心を揺さぶるのだ。

朗読日報抄とは?