〈雪の降る夜のしずけさは、とくべつだ〉。上越市の児童文学作家、杉みき子さんは、こう書いている。〈すきとおった水のようなものが、へやじゅうにいっぱいつまってるような、しいんと、はりつめたしずけさだ〉(「かくまきの歌」)

▼音もなく、しんしんと積もる雪。明朝には、どれだけ積もっているだろうか。そう考えると何だか緊張感も高まる。あらゆるものを覆い尽くす雪をもたらす寒気の厳しさも伝わってくる

▼新潟の冬には、大きく分けて2種類の寒さがあるように思う。まずは雪が多く降る地域の、りんと張り詰めた寒さ。もう一つは海岸沿いの地域を中心に、強い風とみぞれに体温を奪われるような寒さである。どちらも厳しい冷えであることに変わりはない

▼かの地の寒さは、どんなものか。ロシアの侵攻が続くウクライナは厳冬期を迎えようとしている。各地のエネルギー施設が攻撃され、配管で熱湯を送って暖める地域集中暖房や電力の供給に深刻な影響が出ている。復旧を急いでいるが、さらなる攻撃も懸念される

▼都市部ではソ連時代からの集中暖房を利用する地域が多いという。稼働には電力も必要だが、広範囲で停電が常態化している。ウクライナでは気温が氷点下20度まで下がることも珍しくない。世界保健機関(WHO)は「数百万人の命が脅かされるだろう」と指摘する

▼日本政府は発電機や防寒着などを支援する方針だ。非軍事分野こそ日本に求められる支援だろう。さらにできることはないか。

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