ミカンやウメの産地として有名な和歌山県は、ぴりりと辛いサンショウの生産地でもある。小粒だからと侮ってはいけない-。古くからそう言われるサンショウの産地から、侮ってくれるな、という怒りの声が聞こえてきた

▼「腹立たしい。こんなことが許されるのか。地方にとっては迷惑な話だ」。怒声の主は和歌山出身の二階俊博氏である。この前まで自民党の幹事長を務めていた。怒りの矛先は、例の「10増10減」に向けられている

▼東京や神奈川の衆院小選挙区定数を増やし、その代わりに10県への議席配分を減らす方向で検討が進む。定数が削られる10県の中に和歌山や本県が入っている。そうやって見直されると、人口が少ない地方の声が国政に届きにくくなるのではないか、との懸念がささやかれる

▼人口という尺度で見れば地方は小粒である。でも小粒であるからこその苦労というものがある。限られた人手で土を耕し、積もる雪と格闘しているのだ。そうした地方に身を置き、声をすくい、議論の場へ届ける人は一定数いてほしい

▼二階氏の発言に乗っかる形で、いっそのこと定数を増やせばいいじゃないかとの意見も国会議員の中から出てきた。果たして世間は、そこまで求めているだろうか。増員を言うのであれば、さすが国会議員という論戦を見せるのが先だろう

▼始まった通常国会を注目したい。本県議員は存在感を示せるか。昨今は、政治家が小粒化したなどと言われるが、さてどうか。ぴりりとした討議を望む。

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