木が一度燃えると、炎が消えても何かの拍子に再び燃え上がりやすい。「焼けぼっくいに火が付く」は「元に戻ること」の例えだが、この「ぼっくい」は「棒杭」が転じたものだという
▼恋愛関係で使うことが多い言葉だ。何かの困難に直面して別れざるを得なかったカップルが再び出会って恋の炎が立ち上る。恋愛小説や映画では、時々見掛ける展開のような
▼焼けぼっくいに火が付くと熱く燃えるのが恋の炎なら、こちらは正反対に、合流することで猛烈な寒波をもたらす。大雪になりやすい「日本海寒帯気団収束帯」である。海上から雪雲が次々に上陸し、絶え間なく雪が降り続く
▼シベリアから南下した寒気が中国・北朝鮮国境付近の高い山に引き裂かれ、二手に分かれることを余儀なくされる。寒気は別々の道を歩んだ後、日本海上空で合流する。この巡り合いは雪雲を次々に生みだす。雨雲が連続して発達する線状降水帯と似た部分がある。どちらも災害を引き起こしかねない
▼県内では、おとといから雪が降り続いた。きのうの日中、魚沼市守門では2メートルに届こうかという積雪があった。新潟市などでは激しい渋滞が発生した。雪による事故も起きた。停電が長時間に及んだ地域もある。暖房が使えなければ命が危うくなる人もいる
▼12月からこれでは、今冬も先が思いやられる。空を仰いで恨み節を吐いたそばから、顔面に白くて冷たいものが落ちてきた。備えを怠るなという天の警告か。ため息を漏らしつつ、覚悟を固める。