きのうの本紙朝刊にはことしの県内十大ニュースが掲載された。1年を振り返りながら、5位と7位に目が留まった。それぞれ「県内大雪 交通網が混乱」と「柏崎原発 不祥事相次ぐ」だった
▼政府は東京電力福島第1原発事故後に掲げた、原発の依存度を低減するとの政策を転換し、運転期間の延長や建て替え推進の方向性を明確にした。柏崎刈羽原発も来夏以降に再稼働する方針を示した。しかし同原発では、ことしも配管に穴が見つかるなどの問題が相次いだ
▼そこにまた一つ、冬将軍が重い課題を突きつけた。先日の大雪で柏崎市や長岡市などの幹線国道で多数の立ち往生が発生した。いずれの道路も原発で重大事故が発生した際には住民の避難ルートになる。事故と大雪が重ならないという保証はない
▼雪の影響で発生した停電も長期化した。暮らしへの影響は甚大だ。情報の収集も妨げられ、原発事故と重なればスムーズに避難する上で大きな障害となる。世界最大の原発立地点の柏崎市で停電が長引いたことを、桜井雅浩市長は「笑うに笑えないブラックジョーク」と評した
▼原発が立地する地域に暮らす私たちは、どれだけのリスクを背負っているのか。今回の大雪は、そのことを改めて実感させた。再稼働の是非を検討する上では一連のリスクをどう軽減するかの議論が欠かせない
▼国の責任で原発の活用を進めるというなら、避難対策を地元任せにせずに示してもらわねばなるまい。そうでなければ無責任というものだ。